被疑者留置規則
(昭和三十二年八月二十二日国家公安委員会規則第4号)
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最終改正:平成一一年三月二九日国家公安委員会規則第5号
被疑者留置規則を次のように定める。
第1章 総則
(この規則の目的)
第1条
この規則は、逮捕された被疑者の留置を適正に行なうため必要な事項を定めることを目的とする。
(処遇の適正)
第2条
留置中の被疑者(以下「留置人」という。)については、法令の定めるところによるのほか、この規則に従い、その処遇の適正を期し、いやしくも人権の保障に欠けることがあつてはならない。
(構造、設備についての配意)
第3条
留置場の設置および維持管理に当つては、留置人の逃亡、自殺、奪還、通謀その他の罪証隠滅等を防止し、かつ、留置人の健康および留置場内の秩序を維持できるよう、構造および設備が、堅ろうで看守に便利なものとするとともに、通風、採光、区画、面積等を考慮しなければならない。
2
留置場には、警報ベル、消火器、非常口等を設け、留置人の逃亡の防止または非常災害に備えなければならない。
(管理の責任)
第4条
警察署長(都道府県警察本部に設置される留置場に関しては主務課長。以下同じ。)は、被疑者の留置および留置場の管理について、全般の指揮監督に当り、警察本部長(警視総監または道府県警察本部長をいう。以下同じ。)に対してその責に任ずるものとする。
2
警察署の総務主管又は警務主管の課又は係の長(都道府県警察本部に設置される留置場に関しては主務課の課長補佐、派出所に設置される留置場に関しては派出所の長)は、留置主任官として、警察署長を補佐し、看守勤務の警察官(以下「看守者」という。)を指揮監督するとともに、被疑者の留置及び留置場の管理について、その責めに任ずるものとする。
3
留置主任官が不在の場合には、当直責任者または警察署長の指定した者が留置主任官に代つてその職務を行なうものとする。
(関係簿冊の備付)
第5条
留置場には、次の各号に掲げる簿冊を備え、所定事項を記録しておかなければならない。
一
留置人名簿
二
留置人金品出納簿
三
留置人接見簿
四
留置人出入簿
五
留置人文書発受簿
六
留置人診療簿
七
看守勤務日誌
2
前項各号に掲げる簿冊の様式は、警察庁長官の定めるところによる。
第2章 留置
(留置の場所)
第6条
被疑者の留置は、留置場を使用してこれを行なうものとする。ただし、疾病その他特別の理由があるときは、適宜他の場所に留置することができる。
(連絡事項)
第7条
捜査主任官(犯罪捜査規範(昭和三十二年国家公安委員会規則第2号)第20条に規定する捜査主任官をいう。以下同じ。)は、被疑者を留置するに当たつては、留置主任官(第4条第3項の規定により留置主任官に代わつてその職務を行う者を含む。以下同じ。)に対して、その者の逮捕の理由、弁護人の選任に関する事項、看守上注意を要する事項その他必要な事項を連絡しなければならない。
2
留置主任官は、留置人の処遇の適正を図るため必要があると認めるときは、捜査主任官に対して、当該留置人の健康状態その他当該留置人の処遇上留意すべき事項を連絡しなければならない。
(凶器の検査)
第8条
看守者は、被疑者を留置するに当つては、その身体につき凶器を所持しているかどうかを調べなければならない。
(危険物等の取扱)
第9条
被疑者を留置するに当つては、その被疑者が自己の防ぎよをする権利に関しないもので、かつ、捜査上または留置場の保安上支障のある次の各号に掲げる物(以下「危険物」という。)を所持している場合には、留置主任官は、その物の提出を求め、留置中保管しておかなければならない。
一
帯、ネクタイ、金属類、毒物、劇物その他の自殺の用に供せられるおそれのある物
二
マツチ、ライター、煙草、酒等火災その他の事故発生の原因となる物
三
罪証隠滅等捜査に支障があると認められる物
2
被疑者を留置するに当つて、その被疑者が、現金、有価証券その他貴重品を所持している場合には、留置主任官は、その者のためにその金品を預かることができる。
3
前2項に規定する危険物または金品は、その数量、保管者等を明確にしてこれを保管しておかなければならない。ただし、その被疑者から申出があり、留置主任官において適当と認めるときは、それらの物をその者の家族等に引き渡すことができる。
(外傷等の記録)
第10条
看守者は、被疑者を留置するに当つて、その者の身体につき外傷その他の異常を発見したときは、その状況、原因等を詳細に記録しておかなければならない。
(家族等に対する通知)
第11条
警察署長は、留置人から申出があつた場合には、その家族またはこれに代るべき者に留置の旨を通知しなければならない。ただし、捜査上特に支障のある場合は、この限りでない。
(女子等の留置)
第12条
女子の被疑者を留置するに当つては、男子の被疑者と分離して収容しなければならない。
2
少年の被疑者を留置するに当つては、成人の被疑者と分離して収容するようにしなければならない。
(通謀の防止)
第13条
共犯者その他関連する事件の被疑者を留置するに当つては、できるだけ各別に収容し、通謀されることのないようにしなければならない。
第3章 看守
(看守者の配置)
第14条
警察署長は、留置人の数、性質等を考慮し、その看守に必要な看守者を留置場に配置しなければならない。
(看守に対する監督)
第15条
留置主任官は、昼間及び夜間それぞれ二回以上巡回し、看守につき、指導監督を行うようにしなければならない。
(看守者の交代)
第16条
看守者が勤務を交代するに当つては、異常の有無、留置人の異動その他留置場の看守に必要な一切の事項を確実に引き継がなければならない。
2
看守者全員が勤務を交代するときは、新たに勤務につこうとするもの全員と立会の上、交代しなければならない。
(事故防止等)
第17条
看守者は、留置人の逃亡、罪証隠滅、自殺等の事故がないよう、留置場を見回り、その他必要な措置を講じ、留置人の動静及び施設の異常の有無に注意を払わなければならない。
2
看守者は、必要のない者を留置場に入れてはならない。
(参考事項の報告)
第18条
看守者は、留置人につき看守上参考となるべき事項を発見したときは、直ちに留置主任官に報告しなければならない。
(留置人の申出に対する措置)
第19条
看守者は、留置人からその処遇または弁護人の選任等につき申出があつたときは、直ちに留置主任官に報告し、必要な措置が講ぜられるようにしなければならない。
第4章 保安
(戒具の使用)
第20条
看守者は、留置人につき逃亡、暴行、自殺等のおそれがあり、その防止のため必要と認めるときは、警察署長の指揮を受け、留置場内において戒具を使用することができる。
(戒具の種類等)
第20条の2
戒具は次の四種類とする。
一
手錠
二
捕じよう
三
防声具
四
鎮静衣
2
戒具の制式および使用手続きは、警察庁長官の定めるところによる。
(異常発見の場合の措置)
第21条
看守者は、留置人または留置場について異常を発見した場合は、応急の措置を講じ、直ちに留置主任官を経て、警察署長に報告しなければならない。
2
警察署長は、前項の報告を受けた場合において、留置人の自殺、疾病による死亡、逃亡その他重要な事故に係るものについては、すみやかに、警察本部長に報告しなければならない。
(留置人の死亡)
第22条
警察署長は、留置人が自殺し、または疾病により死亡した場合は、直ちに家族等に通知するとともに、医師の検案を求める等適切な措置をとり、死亡の原因その他必要な事項を明らかにしておかなければならない。
(避難および解放)
第23条
警察署長は、地震、風水害、火災その他の非常災害に際し、留置場内で避難の手段がないと認めるときは、警察本部長の指揮を受けて、留置人を他の適当な場所に護送して避難させ、または一時これを解放することができる。この場合において、警察本部長の指揮を受けることができない事情があるときは、事後できるだけすみやかに報告しなければならない。
2
警察署長は、前項の規定により留置人を解放するときは、出頭すべき日時および場所を指定して行なわなければならない。
(非常計画)
第24条
警察署長は、留置人の逃亡、災害その他非常の場合に備え、あらかじめ計画をたて、これに基づき必要な訓練を実施しなければならない。
第5章 給養衛生
(給食等)
第25条
留置主任官は、留置人に対する食事の給与に当つては、栄養および衛生について検査しなければならない。
2
疾病者その他特別の理由のある者については、必要に応じ、かゆ食その他適当な食事を給与するものとする。
3
留置人には、必要な寝具を貸与しなければならない。
(保健衛生)
第26条
留置主任官は、留置人の健康の保持に留意し、捜査および看守に支障のない限り、適宜運動または入浴させるほか、留置場の毎日の清掃および定期の消毒を励行し、寝具等についても清潔を保持するように努めなければならない。
2
留置場には、応急手当に必要な薬品を常備しておかなければならない。
(疾病者に対する措置)
第27条
留置主任官は、留置人が疾病にかかつた場合には、必要な治療を受けさせ、別房に収容して安静を保たせ、または医療施設に収容する等その状況に応じて適当な措置を講じなければならない。
(感染症等に対する措置)
第28条
留置主任官は、留置人が感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成十年法律第114号)に規定する感染症指定医療機関への入院を要する類型の感染症にかかり、又はかかつた疑いがあるときは、直ちに、その者の隔離、留置場内の消毒その他必要な措置を講じなければならない。
2
前項に定める場合のほか、留置人中結核その他の伝染性疾病患者があるときは、できるだけ別房に移すようにするとともに、その伝染を防止するため、適当な措置をとらなければならない。
第6章 接見および書類その他の物の授受
(弁護人との接見授受)
第29条
留置人に対し、弁護人(弁護人を選任することができる者の依頼により弁護人となろうとする者を含む。以下同じ。)から接見又は書類その他の物の授受の申出があつたときは、留置主任官は、その者が刑事訴訟法(昭和二十三年法律第131号)第39条第1項に規定する者であることを確認した上、必要な措置を講じなければならない。
2
捜査主任官は、弁護人との接見又は書類その他の物の授受に際し、捜査上の必要があるときは、その日時、場所及び時間を指定することができる。ただし、被疑者の防御の準備をする権利を、不当に制限してはならない。
(弁護人との接見授受に関する注意)
第30条
留置人と弁護人との接見または書類その他の物の授受に際しては、その接見に立ち会い、またはその間における書類その他の物の授受を妨げてはならない。ただし、留置場の保安上支障があるものの授受については、この限りでない。
2
前項に規定する書類その他の物の授受に際しては、留置場の保安上支障のあるものの授受が行なわれることのないよう、それらの物の検査を行なわなければならない。
(弁護人以外の者との接見授受及び自弁購入)
第31条
留置主任官は、弁護人以外の者から留置人との接見又は書類その他の物の授受の申出があつたとき及び留置人からそれらの物の自弁購入の申出があつたときは、捜査上又は留置場の保安上支障がある場合を除き、その便宜を図るようにしなければならない。この場合において、捜査上の支障の有無については、捜査主任官の意見を聴かなければならない。
2
糧食の差入れおよび自弁購入は、これを禁止してはならない。
3
糧食の差入れおよび自弁購入は、特別の事情のある場合を除き、警察署長が指定する業者が調製し、または取り扱うもので、かつ、警察署長が定める種類および分量によつて行なわせるものとする。
4
第1項および第2項に規定する接見または書類その他の物の授受もしくはそれらの物の自弁購入に当つては、接見に立ち会い、または授受もしくは自弁購入されるそれらの物の検査を行なわなければならない。
(接見の場所)
第32条
接見は、原則として接見室においてこれを行なわせるものとする。
第7章 釈放
(留置期限に対する注意)
第33条
留置主任官は、常に留置人の留置期限について注意を払い、その期限がくるまでにその者につき釈放、送致、勾留状の執行等の指示または連絡がないときは、必ず捜査主任官に連絡し、その注意を喚起する等違法に留置することのないようにしなければならない。
(釈放の際の注意)
第34条
留置主任官は、留置人の釈放に際しては、釈放の日時、釈放後の帰住地等必要な事項を明らかにしておかなければならない。
2
留置主任官は、留置人の釈放に際し、第9条の規定により保管している金品等を返還するに当つては、その状況を明確にしておかなければならない。
第8章 特則
(代用監獄についての準用)
第35条
被疑者または被告人を代用監獄としての留置場に収容する場合については、他に特別の定めのある場合を除き、この規則の規定を準用する。この場合において、第33条中「捜査主任官」とあるは、「その留置人の身柄の拘束につき責任を有する機関」と読み替えるものとする。
2
前項の場合において、警察署長は、第21条第1項に規定する報告をうけたとき、または第23条第1項に規定する措置をとつたときは、これをすみやかに当該留置人の身柄の拘束につき責任を有する機関に通知しなければならない。
附 則 抄
1
この規則は、昭和三十二年九月一日から施行する。
附 則 (平成一一年三月二九日国家公安委員会規則第5号)
この規則は、平成十一年四月一日から施行する。
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